オオベソオウムガイの胚発生
横綱休場…!?
へんな生きもの研究所でクマムシ(ヨコヅナクマムシ)を展示していますが、昨日いつものように週に一度のシャーレの培地交換をしていて気がつきました。
…あれ?クマムシの数が激減している。
何が原因なのか…とにかくこのままでは横綱白鵬と同じようにヨコヅナクマムシも休場しなくてはいけなくなります。
クマムシの展示を途切れさせないために、ヨコヅナクマムシの個体数をキープしなくては。
それと一緒に、代役として別のクマムシも用意しておかなければいけないかも。
クマムシはコケの中に見つかります。
さっそく検鏡してみると、どちらのコケからもクマムシが見つかりました(やはり、いそうなコケの方でたくさん見つかりました)。
ヨコヅナクマムシは目がありませんが、このクマムシは小さな目がなかなか可愛いです。
簡単に採集できるので、もしものときはピンチヒッターとしてこのコが登場するかもしれません。
【飼育研究部 森滝丈也】
台風の影響
ちょうど1週間前 台風18号による大雨がありました。
館内より撮影。雨が白いカーテンのようになって降り続けていました。
あっという間に川は増水して道路は冠水、一部では土砂崩れがありました。
ちょうど出勤時と重なったため、鳥羽水族館までたどり着けないスタッフが続出。
大変な朝でした。
足早にさった台風と雨は、午後には陽が差すほどに天気が回復したのですが…
大変なのが海
普段はそれなりにキレイなのですが、近くの川から流れ込んだ雨水であっという間にこんな感じに ↑↑
コーヒー牛乳みたいな色になっちゃいました。
ここで、困るのが【海水の塩分濃度】です。
鳥羽水族館で使っている海水は目の前の海から、ひきこんで使っています。
海水魚にとっては、海水が淡水化してしまうと、病気になりやすくなったり、生命の危険さえ考えられます。
そのため海(海水)がもとの状態になるまで、様子をみて、海水の使用をひかえていました。
毎日、塩分濃度を調べながら、魚たちの様子を観察する日々でした。
普段は何気なく使用してる海水ですが、あらためてその有り難さを身に染みた経験となりました。
折しも、今日の鳥羽は雨。ふだんよりちょっと降りかたが気になったりします。
50年に一度、100年に一度といった天気がたびたび訪れることがないように願いたいものです。
空家のヤドカリスナギンチャク
9月に入り、熊野灘でも深海底引き漁が再開。
これから春先にかけて深海生物がへんな生きもの研究所にやってくることでしょう。楽しみです。
現在は展示していませんが、深海底引き漁ではこんなスナギンチャクを背負った深海のヤドカリが捕れます。
背負っているのはヤドカリスナギンチャク。
スナギンチャクは、ヤドカリが背負う巻貝の上に付着すると貝殻を溶かしながら成長して最終的に直接ヤドカリ全体を覆ってしまいます。
スナギンチャクはヤドカリのサイズに合わせて成長するので、ヤドカリは生涯同じスナギンチャクを背負ったまま(たぶん)
脱ぎ捨てることがないので、空き家のスナギンチャクが出現するのはヤドカリが死んでしまった場合だけ(たぶん)
おそらくヤドカリよりもスナギンチャクの方が寿命が長いので、自然下でもヤドカリ不在の空き家スナギンチャクは存在するはず(実際に見たことはありませんが)
でも、ヤドカリと共生していないと生存に不利なのかなぁ(例えば、餌にありつくチャンスが減るとか)
…水槽の中では、何の問題もなく生存しています(現在、展示中)
より、へんな生きもの感がアップしています(笑)
水槽の中では私が時々餌を与えているので生存し続けているだけなのかもしれません。←情報不足
【飼育研究部 森滝丈也】
ハシキンメ稚魚9/17
釣りバカ飼育員つじです。
本日で20日齢になるハシキンメの稚魚ですが、こんな感じ。
この画像は残念ながら死んでしまった稚魚をすぐに実体顕微鏡で確認した画像です。
最初こそはこれは本当にハシキンメなのか?と疑っていましたが、ここまで来るとまさにハシキンメですね。
この時点でTL約4.5mm
ここへ来て、ポロポロと落ちる(死んでしまう)個体が出てきました。
稚魚は最初、
このように直線状なのですが、10日齢あたりから体高が出てきます。
この体高がつきにくい個体がどうやら落ちていっているようです。
発育不良なのか、環境?餌?うーん難しい。
さて、現存している個体は数はすくなけれどまだいます。
ここへ来て大きな壁が。。。
次の餌どうしよう。。。
現在は孵化後0日齢のアルテミアを与えているのですが、もう少し大きめのものも食べられそう。
しかし適した餌に心当たりがない。
今の餌を与え続けるという手もあるけれど果たしてそれで良いのか?
続く。
コシマガリモエビが脱皮
朝の見回り。
へんな生きもの研究所のアマモ水槽をのぞいていて、少し様子のおかしいコシマガリモエビが目に留まりました。
体の表面がふやけたような…と思う間もなく、いきなり脱皮!
おぉ!慌ててカメラを構えるも、一瞬出遅れてしまいました。
いやぁ~気持ちの良い脱ぎっぷりだわ。
脱皮前にしっかりアマモをつかんでいたのが印象的。脱皮しやすい工夫でしょうね。
脱皮しても殻はアマモをつかんだままで、脱いだ本人は下へ移動…
すると、次の瞬間、いきなり上から別のコシマガリモエビがアマモを伝って急降下!
脱皮殻は脱いだ本人が食べるものばかりと思っていましたが、今回は見事に強奪されてしまったかたちに。
朝から面白いものを見ることができました。
【飼育研究部 森滝丈也】
異クマムシ(トゲクマムシ)がいました
へんな生きもの研究所で展示中の横綱(ヨコヅナクマムシ)が休場か…!?となり、すぐ近くの植え込みで新弟子クマムシを探した顛末を先日の飼育日記に書き込みました。
ここは、めぼしいクマムシはいないだろうな、と思っていた場所でしたが…
昨日、あらためて確認すると、トゲクマムシの仲間がいました!(普通種なのでそれほど驚くことはないのですが、あまり見かけません)
体長0.24mm。ヨコヅナクマムシや“白クマムシ”とは異なるグループ「異クマムシ類」のトゲクマムシの仲間です。
とても好きなクマムシです。
全身がクチクラ質のぶ厚い背甲板に覆われて、4対の脚先には熊手のような鋭い爪。このメカニカルな重装備感にしびれます!
写真が上手く撮れなかったのは残念ですが(体が重厚なので撮影が困難)生の姿は興奮もの!
小さな「王蟲」のようです。
ムッチリとした体にヨロイをまとったようなボンデージ感(?)に萌えませんか。私は萌えます。
この仲間は飼育法がまだ確立されていないようなので、こいつが飼育できたら凄いんですけどね。
【飼育研究部 森滝丈也】
イソコンペイトウガニ オニヒメブンブク
さぁシルバーウィークが始まりました!
へんな生きもの研究所の展示生物を補充しようと取り扱い業者に問い合わせたところ、残念ながら希望の生物は欠品中…
代わりにこんなのどうですか?と勧められたものがなかなかキュートだったのでご紹介。
じゃん!甲幅わずか1㎝ほどの小さなカニ、イソコンペイトウガニです。
まさにコンペイトウ!かわいいです。虫眼鏡持参でぜひ見に来てやってください(笑)
もうひとつがコチラ。
モフモフ好きにはたまらない(実際はトゲなのでチクチクですが)小さなウニ、オニヒメブンブク。
少しパンダを意識したかのようなカラーリング(笑)
残念なのは、この仲間は砂に潜っているのが普段の状態だということ。
【飼育研究部 森滝丈也】
20150919ハシキンメ稚魚 呆然。。。
釣りバカ飼育員つじです。
今朝いつものようにハシキンメ稚魚水槽を見に行くと、
呆然。。。。。。
ギヤマンクラゲが大量発生している。。。
ギヤマンクラゲとは透明で小さなクラゲですが、刺胞が強く稚魚などはやられてしまいます。
因みにこのクラゲは勝手に出てくるやっかいなヤツです。
急遽落水掃除。
稚魚を移動させて、アクリルをこすって、新しい海水を貼ります。
しかしやはり移動で数個体は死亡しました。。
コンデジのマクロ撮影で撮れる大きさになりました。
水槽で泳いでいる時はこんな感じに見えます。
シルバーフラッシュに反射する感じがまさにハシキンメ。
下からライトを当てて実体顕微鏡で見てみると、
側線が確認出来ます。本日22日齢、やっとココまで来たか。
歯の形成も確認出来ました。
先日書きました餌料の件、まだまだ悩んでいますが、数個体で排便が確認出来ましたので、
もう少しアルテミアで引っぱってみます。
アルテミアに変わる、何か良い餌料あれば情報提供待っています。
にしても今回のクラゲ発生で大打撃を受けたのは確か。
今日はまぶたの裏にギヤマンがちらつきます。
ぷかり ぷかり
昨日入館したオニヒメブンブクですが、砂の中に潜って見えません…と書き込みましたが、よくよく見ると割と砂の上に出てきています。
この水槽、底砂をあまり厚く敷いていないからでしょうね。
オニヒメブンブクは比較的よく動き回るウニで、細長い棘を器用に動かして砂の中を移動します。
棘の生え方が絶妙です。
これは実際に見て頂かなければ伝わりにくいかな。(画像は腹側)
環境が変わったことが刺激になったのか、水槽に搬入してすぐに1匹が放精しはじめました。
ちょっと煙草を一服、そんな風にも見えますね。…見えないか(笑)
さぁ、そろそろ駐車場応援に行ってきます(←シルバーウィーク対応ね)
【飼育研究部 森滝丈也】
鮎あげる。
ご無沙汰してました。
夏といえば、鮎の友釣り!釣りキチ飼育員りゅーです。
先日、4連休をいただき、四国は高知の四万十川に行ってまいりました。
目的は、鮎釣り師なら夢見る尺鮎を釣りに。。。
尺鮎とは、30.33…..cmを超える鮎です。
残念ながら尺鮎には出会えませんでしたが、
広大な自然に囲まれ、狭い車内で4日睡眠をとり、釣り放題。
とても充実した旅でした。
!!!
鮎と言えば、
カワウソくん達にあげてるよな~と思い、
四万十川で釣れた小さい鮎達をお土産にすることに!
本日カワウソくん達の担当の日だったので、
あげてみました!!
つまらないものですが、お土産です!
美味しそう。
まずは、朝ごはんに
あげてみます。
マーボーは好奇心旺盛の食いしん坊。
あげてからしばらくは
手でコネコネしてあそんでましたが、
ムシャムシャ食べ始めました。
ほぼ完食!
一方ペアのレンゲは。。。受け取ってくれず;;
夕方のお腹減ってるときにあげてみよっと。
・・・
機械チェック
ペンギン散歩の補助
アマモ植え
などを経て夕方。。。
レンゲ、はいっ!
やったー
食べてくれた~と喜んだのもつかの間、
少しすると残してしまったので、
マーボーにあげました!
ムシャムシャ・・・・
かなりの速度で2つ完食!
マーボーくんにはかなり喜んでもらえたようで、よかったです!
ウメ・ナスビのペアにもあげました!
どうかな?
ウメもナスビも少し食べたら残してしまいました@@;
まだ残ってるのに次のエサをよこせと、、、
怖いのですぐさまアジをあげました。
そうそう、やっぱコレよね~
って声が聞こえてきそうです。笑
一応みんなお土産を食べてくれたのでよかったかな?
中でもマーボーくんだけは、大人の鮎の味がわかって
くれたみたいです^^
マーボーくんに今度は違う川の鮎をプレゼントしようかな?
釣ってくるから待っててね!!
サンマ+ を頂きました
岩手県釜石に住む鳥羽水族館の飼育日記ファンの方から今年もサンマを頂きました。
この方は毎年毎年季節になるとサンマを送ってくださり(震災前は私の好物のホヤも)もう、10年以上のお付き合いになります。
ありがたいことです。
こういうファンの人に支えられているんだなぁと感謝しつつ、サンマを飼育スタッフに配りました。
そのサンマ、たかむらさんが自分の分をスチロール箱から取り出そうとして表面の異物に気がつきました。
何気なく引き抜いてすぐに、あ、これって寄生虫…!?と。
その声を聞いてすっ飛んでいくと(笑)
おぉ!やはりサンマヒジキムシです!
サンマヒジキムシは約7 cmの大きさの寄生虫。
こんな姿をしていますがエビやカニと同じ節足動物の仲間です(カイアシ亜綱、ペンネラ科)
サンマに寄生するのはメスの成虫のみで、頭部を体表に埋没させています。
でも、残念。
サンマの体内に頭部を残したまま引き抜いてしまっているじゃないですかぁ…ガックリ。
あらためて調べなおしてみると…サンマヒジキムシは1981年に北太平洋のサンマに突如出現して世に知られるようになったそうです。
1983年にはサンマへの寄生率が約33%にも達したそうですが、その後、個体数は激減して1986年には全く見られなくなったそうです。
ところが2012年には約30年ぶりの大発生。この時は水産庁からも注意喚起の文書がでたほどです。
今回のケースは今後サンマヒジキムシの個体数が増えていく兆候なのか、今の時点ではなんとも言えませんが、とりあえず貴重な標本として保存しておきました。
ちなみにヒトには寄生しないので無害ですよ。寄生されたサンマも問題なく食べることができます。
もちろん、今回頂いたサンマは、たいへんおいしく頂きました!塩焼きで!
私みたいなへんな生きもの好きにとってはサンマもサンマヒジキムシもどちらも嬉しい贈り物なのです(笑)
【飼育研究部 森滝丈也】
年パスイベント10/3
釣りバカ飼育員つじです。
今年は当館が開館60周年ということで年間パスポートをお持ちの方を対象に、
ちょっとした企画を行っています。すでに第一回と第二回は終了しているのですが、
第3回をワタクシに、という依頼がありました。。。
というわけで、10/3(土)14:00~15:00
ちょっと小粋なオモロい話(あくまで私が思っているだけですが。。)
をしようかなと思っています。
詳しくは鳥羽水族館ホームページ、「開館60周年記念年パスイベント」をご覧下さい。
すでに多くの方が申し込みされているらしいのですが、
現在まだ数名空きがあるとのことですのでコチラでご案内しました。
締め切りは9/26(土)です。先着順、定員になり次第終了ですのでご予約はお早めに。
よかったら来てくださいねー
カクレクマノミ、子供を食う。
どーも!おーきたです!
さてさて、前回の日記に引き続き、いよいよカクレクマノミの孵化が近づき
実質、本日9月21日が孵化予定日・・・でした。
はい、またしても失敗してしまいました。
3回目の失敗となると、さすがにへこみます。
昨晩、おーきたは秘密兵器を作成していました。
これは、ガラス面についた卵から孵化稚魚を回収する装置です。
この装置を昨晩消灯後
装置のテストと卵の状態も良好だったため、早めに孵化しちゃうんじゃないかと不安になり、兼ねて装置を設置しました。
そして朝みてみるとまだ孵化しておらず、また今晩設置しようと楽しみにしていました。
ところがどっこい!
数時間後、再び卵の確認をしにいくと・・・・・卵が・・たたた、たま、卵が、ない!ないじゃないかぁぁぁぁ!
5秒くらい水槽の前でポカーンとしていました。
はっ!と我にかえり原因を考えると
やはり昨日装置を設置したのがミスだったのか?
①装置設置により親による酸素供給が不十分だったために卵の状態が悪くなり、食われた。
②一晩親が卵の世話をできなくなったため、子供と認識できずに食った。
カクレクマノミの習性で、不良な卵を食べて、状態の良い卵を残すんだけど、ものの見事に綺麗に全部食べられていました
もし原因が②だったら・・・世知辛い世の中ですね。自らの子供を食べてしまうなんて・・・
どちらにせよ、装置を昨晩設置してしまって後悔してます。
経験を次に活かすしかないでしょう。
くそぉ、悔しい!ワンモアチャンス!
白いかたまりの正体
ちょうど1ヶ月前、へんな生きもの研究所で飼育中のリプケア(発見例の少ない十文字クラゲの一種)のカサの中に、白いかたまり(矢印)が見つかると書き込みました。
あれ以降も相変わらず出現して、いつの間にか消えている。
これは何なのか?正体はだいたい想像はついていましたが、検鏡してみようと思いつつなかなか白いかたまりは回収できず正体ははっきりしないまま…。
http://www.aquarium.co.jp/diary/archives/18734
それが今朝、急に思い立ち、回収してみました。
何とか無事回収。
かたまりの大きさはおよそ1mm。
さっそく顕微鏡で観察してみました(すでにポロポロと小さな粒がこぼれ落ちていたのですぐに正体が分かりましたが)
試しにかたまりを崩してみると、卵がどっさり。
どうやらこの白いかたまりは生殖腺の一部(卵塊?)で間違いなさそうです。
卵径を計測してみると、直径34μmほど。
十文字クラゲの仲間の卵はかなり小さいのですが、サイズもほぼ卵径に相当します。
リプケアの生殖腺はカサの中央にありますが、このように生殖腺から卵塊?が落下してカサの内側に留まることが正常なのか、情報が少ないため今のところ不明です。
取り出した卵はしばらくシャーレの中で観察してみます。
リプケアはおそらく雌雄異体でしょうから、まかり間違っても受精(自家受精)なんてしていないでしょう…(たぶん)
【飼育研究部 森滝丈也】
カクレとオオベソの近況
今夜は宿直。
さきほど館内を巡回していて見つけました。
最近話題のあのカクレクマノミのペアが4回目の産卵です(夕方には産んでいたようです)
産卵間隔は12~14日。
卵をケアして孵化4、5日後には次の産卵…なかなか体力が要りそうですが、コンスタントに産み続けていますね。
さて、卵ネタをもう一つ。
前回の続きになりますが、発生中のオオベソオウムガイの胚の近況です。
胚が順調に成長していて卵殻の外から見てもよくわかるようになってきたので、先日、水槽の前面から見える位置に卵を移動させました。
少し薄暗いですが、水槽前面から発生状況をご覧頂けます。
今日は胚の触手を初めて確認しました(矢印)
ちなみに、下の画像は以前撮影した別の胚ですが(卵から取り出してある)、発生中の胚はこの画像で言えばちょうど矢印の方向から見た格好になりますね。
【飼育研究部 森滝丈也】
痛レポート~痛① ホワイトダムゼル
長いこと飼育係をしていると、いろんな痛い思いをしてきました。
ま、これも経験のうち、って思っていたんですが、ま~いろんなヤツにやられてきましたので、
ここは一つ、記録に残しておいても良いのでは?と思いまして、不定期ながらレポートにしてまいります^^
さ、第1回目は…
「あれ?何だか腕がひりひり、ちくちくするなぁ」
掃除の際、海水に腕を入れたら、痛みがあるのです。
よぉくみると…
矢印の先、赤くなってるのが、お判りいただけますでしょうか??
ん?どこかで擦ったか?転んだか?
しばし沈黙 ・・・・・ 『 ! 』
ヤツだ!
朝、オープンになっているサンゴ礁水槽のガラス掃除をしたんだっけ。
そこにいるヤツというのが…
この「ホワイトダムゼル」(スズメダイの仲間)です。
ま~この子が、気が強いのなんのって!
よく見ると目つき悪そうでしょ?でしょ?
普段からなわばり意識が強いところに卵を産んで守りはじめると、凶暴さは、さらにパワーアップ!
ガラスの掃除をしようと手を入れると、噛むんですよ~
それも何回も。
ガラスを汚れたままに放っておくわけにもいかないので、掃除続行
「ゴシゴシ…(ガブ!)…イデデデ…」「ゴシゴシ…(ガブ!)…イデデデ…」の繰り返し
その結果が一枚目の画像
静かな戦いはこうしていつも繰り返されているのです。
(ガブ!)イデデデ…
セノテヅルモヅルが入館しました
秋になると水族館目の前の菅島の漁師さん(幸進丸)から声がかかり、セノテヅルモヅル(クモヒトデの仲間)をいただくことがあります。
そのモジャモジャの姿からセノテヅルモヅルはパーマと呼ばれるようです。
菅島付近でセノテヅルモヅルはイセエビの漁期である9-4月頃によく捕れます。
時期によって網をかける場所が変わることも関係するのかもしれませんが、水族館に持ち込まれるのは秋と春が多く、なぜか水温の低い冬場は入館しません。
実は、去年と一昨年は複数を予備水槽で飼育していましたが、冬になり水温が10℃を下回るといきなり崩壊しはじめ全滅してしまいました(2年連続…)
水温が高い展示水槽(18-21℃)へ移動すると死ななくなるので、死亡原因のひとつは低水温であろうとは想像できるのですが…実際のところ、鳥羽湾の冬場の表層温度は8℃台まで下がるんですよねぇ。
冬の間、海中のセノテヅルモヅルはどうしているのか気になるところです。
さて。
腕の付け根に開口する生殖裂孔から内部をのぞくと、オスの生殖腺は白く、メスのものはオレンジ色に見えます(矢印)
今回入館したのはオス1匹にメスが3匹。
鳥羽湾では秋から冬にかけて生殖腺が発達するようなので、繁殖期は冬あたりだと予想していますが、このテヅルモヅルの仲間では産卵、発生の過程はほとんど明らかにされていません。
本日、入館したセノテヅルモヅルは全て伊勢志摩の海ゾーンの展示水槽に入れました。
【飼育研究部 森滝丈也】
ふと思うこと。
いよいよ9月も終わりに近づいてきました。
どーも!おーきたです!
水槽の生き物を眺めていると、ふと思うことがあります。
カワハギを見ているときでした。
カワハギ、カワハギ・・・カワ、ハギ。
・・・!
ナンヨウハギ・・・ナンヨウ、ハギ。
・・・!
アミメハギ・・・アミメ、ハギ。
・・・!
キイロハギ・・・キイロ、ハギ。
・・・!
フクラハギ・・・フクラ、ハギ。
いやちがう!これは「ふくらはぎや!」
靴下ちょっと破れてるところとか生々しくてすみません(笑)
カワハギの名前の由来は「皮を剥いで料理する魚」というところから名付いているんですね。
他のカワハギ科の仲間もなんとなく名前の由来がわかります。
アミメ模様なんだなぁ。とか、南洋の暖かいところにいるんだなぁ。とか、
黄色なんだなぁ。←(単純すぎw)とか。
とにかく種類が多い海水生物。名前を覚えるのも、まだまだ時間がかかりそうですが、名前の意味を調べると
案外楽しいですよ!
ちなみに、ふくらはぎの由来は、昔「すね」の部分を「はぎ」と呼んでいたことから、「ふっくらした、はぎ(すね)」なんですって。
自分は足細いので、ふっくらしてないかもしれません・・・これじゃあただの「はぎ」やん!(笑)
と、ふと思いましたとさ。