Quantcast
Channel: 鳥羽水族館 飼育日記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4657

ユミヘリのシダムシ

$
0
0

三重県、熊野灘の沖合底引き網漁船に乗せていただき、生物採集に出かけています。

今年は色々とミッションがあり、月1ペースの頻度。

 

展示生物の採集はもちろんですが、目的のひとつはシダムシ探し。

ここでもたびたびお伝えしていますが、シダムシはヒトデに寄生する甲殻類(フジツボに比較的近縁)です。

国内では7種ほどが報告されていますが、まだまだ知られていない種もいるはず…

 

今年は深海(漸深帯)に生息するゴカクヒトデの仲間、ユミヘリゴカクヒトデにシダムシの寄生を初めて確認しました。

ピンクのものがシダムシ。ヒトデの体腔のほとんどを占めています。

こちらはさらに大きなシダムシ。黒いものがヒトデの内蔵。

今は、シダムシの追加標本と寄生状況確認のために(あわよくば展示も視野に…)乗船しているのですが…

ユミヘリゴカクヒトデは9月に採集したきりで、10月、11月は空振り…採れません。

9月とそれ以降の回では漁をおこなった海域が違っていました。そのせいかも知れませんが、たぶんもう少し深い場所に生息するんでしょうね、ユミヘリゴカクは。

10月と11月は、そのひとつ手前の深さで網を引いていたからでしょう。

 

ユミヘリゴカクヒトデ、今回のものと9月に採集した計10個体を解剖した結果、シダムシが寄生していたのは6個体でした。

今のところ、寄生率は60% 意外と高そうです。

シダムシの枝分かれした外套の中には卵が詰まっています。

美味しそうなので、少し食べてみましたが…生臭かったですね(笑)

【飼育研究部 森滝丈也】


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4657

Trending Articles